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委ねて

 

工房を立ち上げたとき、
すくなくとも木のことは、すべて自分ですることを正義だと信じてずっとやってきた。
家具職人は木工だけでなく椅子張りや建築との兼ね合い人間工学のことなど技術や知識の幅が広く、すべてに網羅するのは難しい。
求められたときや自分が求める物に、その時の自分の技術が追いつかないことがあることもよくある。
それを埋めるように努力をしてきたし、これからもすると思う。
ただ、その試行錯誤の中で私が得意な技術というのもよりよくわかってきた。

今回木のお皿をつくるとき、静岡の信頼できる轆轤師さんに主な加工の協力をお願いした。
私が試作をして図面を描き、それを元に150枚以上を作って頂く。
材料をこちらで選び
轆轤師さんに送り、加工してもらい、
こちらで最後の仕上げと塗装をするという流れ。

木からすれば、だれが作るよりどう生かされるかの方が大切だ。
得意なことに集中するために今回は、委ねる。
初めての挑戦にすごく不安もあったけれど思い切って委ねてみると、
客観的になれてより自分の作りたい形を追求でき、より自分らしい形が出来上がっていく手応えを感じた。

この先の可能性を考えると無限に広がりとても楽しい。
こういう思いになれたのは、目指すところ。
目指す人の存在があったから。
遠い背中を追って、今日もつくる。

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