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Hand│ Claesson Koivisto Rune × sasimonokagu takahashi│ TOKYO CRAFT ROOM

Hand

TOKYO CRAFT ROOMのために、CKRのウーラ・ルーネさんと作った
テーブルとベンチ、スツールから構成された
一見とてもシンプルなダイニングセット。

日本の風呂椅子、kantyukyoのために作ったしゃもじなどから
インスピレーションを得て生まれたフォルムは
柔らかく、やさしい。
しゃもじはスウェーデンでも馴染み深いピールにも通じ、
ピールのように薄いけれど重量感がある、頑丈な家具を目指しました。

引き寄せられるように近づき、座っているうちに
そのどこにもフラットな部分がないことに気がつくはず。
天面に細く覗く「ほぞ継ぎ」のディテールは好奇心を掻き立て、
自然と手が触れる木部の全ては、緩やかな曲面で柔らかく、
手鉋の削り跡のかすかな凹凸の質感が、手仕事のあたたかさを感じさせます。

木は生きている。そのことを静かに伝えてくれる家具が生まれました。

 

 

story  of  Hand

TOKYO CRAFT ROOM プロジェクト

2019年2月、東京・浜町にオープンしたHAMACHO HOTEL
その一室である「TOKYO CRAFT ROOM」は、
日本の作り手と国内外のデザイナーとのコラボレーションによる新しいものづくりに挑戦し、
そこから生まれたものを通して、日本の「手しごと」を発信していくコンセプトルーム。
この空間のために生み出されたアイテムが順次発表、追加されていくという特別な客室です。

その第3弾のアイテムとして、「Hand」は生まれました。

2017年オランダで開催された「MONOJAPAN」での出会いがきっかけで、
日本の作り手として声をかけていただきました。
家具のデザインは、スウェーデンの建築家・デザイナー集団
Claesson Koivisto Rune(CKR)」のOla RUNE ウーラ・ルーネさん。

東京で初めてお会いして、とにかく2人でいろんなことを語り合いました。
お互いのものづくりについて、ともに生み出す家具について。

「言葉がなくても、すぐに分かり合えた。
共通のフィーリングがあって、良いものを作れるという予感があった。」と
後のインタビューでウーラさんも話していたけれど、本当にその通り。
言葉が通じなくても、お互いすっと分かり合える不思議。

そんな初回のミーティングを経て、ウーラさんはTOKYO CRAFT ROOMに実際に宿泊。
そこでイメージを膨らませ、帰国後じっくりとデザインを考案、
数か月後、それを持って僕たちの工房を訪れてくれました。

 

チャレンジとなるポイント

工房や実際の作業風景、鉋などの道具、指物の資料などを見ながら、
再びいろいろと語り合う特別な時間。

そして、いよいよ。
「考えてきたものはこれだよ」と、見せられたデザインは一見とてもシンプル。
北欧らしさに、どこか日本らしさを感じるフォルム。そして、指物を想起させる構造。

「指物、その技術をベースにしたものづくり、技術力、感性がとても素晴らしい。
それを最大限にいかした、君たちだからこそ作れる、今までにないものを作ろう。
君たちにとってもチャレンジとなるポイントを作りたいと思ったんだ。」

ウーラさんがそう示すのは、天板と脚の接合部分。
なるほど。実際実現させるためにはかなり難易度が高い。
「チャレンジとなるポイント」そう、これは本当に挑戦でした。

 

ほぞ継ぎのディテール

天板の表面に細長く延びる繊細な接合ライン。
覗いた接合部分も丸くカーブしている。
「これは実現不可能かもしれない」と同行の熊野亘さんが思わず言ったほど。
幅4mmと驚くほどに繊細でありながら、この家具の要の意匠。

このウーラさんからのボールを僕たちは、確実に、完璧に打ち返すことができるだろうか。
持ちうる限りの知識、技術の全てをかけて、応えたい。
試行錯誤を繰り返し、何回かの試作を経て、なんとか課題をクリアする設計に辿り着いた。
とは言え実際は、一発勝負。
組んでみて、意匠も強度も満たすものができるのか、自信と不安が入り混じっていました。

 

僕たちの哲学を伝える

もう一つのポイントは、家具の表面の仕上げ。

僕たちがいつも作っているオリジナル家具は、
例えば肘掛など、よく手で触れやすい場所に鉋の削り跡をあえて残している。
かすかな質感が生まれ、触れることで職人の手仕事のあたたかさを感じられるから。
そんな話をしながら鉋の使い方などを説明しました。

その時、鉋がまるで僕の体の一部のように思えたとウーラさん。
僕たちの哲学を伝えるためにも、表面の仕上げはすべての面を鉋で削ることになりました。

 

だれかとひとつのものを生み出すということ

挑戦するということ。その上をいくということ。
これは自分たちだけではできなかったこと。
コラボレーション、だれかとひとつのものを生み出すという魅力、
その醍醐味を十分に感じられた、僕たちにとって宝物のような作品。
それがHandです。

商品の名前をどうしようか?と問いかけたら

木は自然からうまれたもの。
木を使って作るものは、生きていないといけない。
生きていることを表現するために
僕が平面が存在しない人体のような柔らかい形を手で描くから、
それを君の手から生み出してほしい。
だからこの家具の名前は「Hand」としよう。

と返事がきて、この言葉に本当に感激しました。

また近い将来、だれかとものづくりをしてみたい。
高揚感は未だに僕たちの中で熱を持ったまま。

 

この機会を与えてくださったTOKYO CRAFT ROOMプロジェクトの皆様に心から感謝しています。

ぜひ、多くの方に実際に触れて、ご覧いただきたいと思います。
TOKYO CRAFT ROOMのほか、弊社ギャラリー chigiriでもご覧いただけます。

 

PROJECT TEAM
クリエイティブディレクション:柳原 照弘
プロジェクトマネジメント・編集:Polar Inc.
リサーチ&デベロップメント:熊野 亘
撮影:momoko japan・五十嵐 絢哉(クレジット記載写真のみ)
プレス:竹形 尚子(Daily press)
企画・運営:UDS / HAMACHO HOTEL
協賛:安田不動産株式会社
問い合わせ先:さしものかぐたかはし

 

Claesson Koivisto Rune(クラーソン・コイヴィスト・ルーネ)
1995年にモーテン・クラーソン、エーロ・コイヴィスト、ウーラ・ルーネによって設立されたスウェーデン・ストックホルムを拠点とするデザインスタジオ。建築事務所としてスタートしたが、現在は建築とデザインの両方を活動の中心とし、ホテルや住宅、店舗、オフィスをはじめ、展示会の会場構成やインテリアプロダクト、電化製品やお菓子やテレビ番組用のトロフィーまでインターナショナルかつ様々な領域のプロジェクトに関わる。
www.claessonkoivistorune.se

 

TOKYO CRAFT ROOMのHP掲載のHand制作ストーリーはこちらから
http://www.tokyocraftroom.jp/claesson-koivisto-rune/profile.html

 

 

Hand

brand : TOKYO CRAFT ROOM
design : Claesson Koivisto Rune
woodwork : sasimonokagu takahashi

材種 クリ

サイズ(  幅 × 奥行 × 高さ )

Table      2400×1050×730 mm
Bench  1500×500×445 mm
Stool    700×500×445 mm

※ Table のみサイズオーダー可能です。
サイズに応じてバランスをチェックするためCKRさんとやりとりが必要です。
ご希望から多少お時間いただきます。あらかじめ、ご了承ください。

※ bench ,stoolについて
座面までの高さが日本人の体型からすると少し高めの設定になっています。
ご希望の方はお伝え頂ければ、高さ調整させていただきます。
ただ座面も曲面になっており、女性(身長155cmぐらい)の方でも座りやすいというお声も頂いています。

塗装 浸透性ウレタン

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