といろ
あるこども園のこどもたちのために木皿を作る機会を頂いた。
つくるなら、こども達が一生を共にするようなお皿にしたい。
一生を共にするとはどういう形?
こどものときにも、大人になってもずっと使われる風景を想像する。
飾り気のなく暮らしの風景に溶け込むような何気ないものにしたい。
そんなことを考えてフォルムをつくる。
特に気になったのは手が触れる縁の部分。
大人が使いやすい縁にすると子供たちにとっては繊細すぎるし、きっと壊れることもあるかもしれない。
どうするのか、悩んだけれど、もし壊れたら直そう。
むしろ直すことをしてみたい。
こどもたちが壊れたものが直ったときの喜びを感じてほしいから。
欠けたものわれたものが修理をうけて、より個性的になる様子も見てみたい。
そうやって一枚一枚が個性的な表情になるお皿を作る。
同じ形から始まって、一枚一枚が木の枝葉のようにいろいろな変化が起きていく。
そんなものを作ってみたかった。
これが出発点になり、その子のこれから出会う木の道具たちに愛着を持つきっかけになれば、作り手としてこれ以上の喜びはない。
いつの日か、このお皿を使い続けて大人になった子に出会ってみたい。